生命(いのち)の言葉|令和7年2月
今上陛下
岩かげに したたり落つる
山の水 大河となりて
野を流れゆく
- 宮内庁 平成二十九年歌会始 お題「野」
今上陛下には、平成二十年五月に山梨県甲府市の笠取山に登られ東京都水道水源林を御視察になりました。このお歌は、その折に、多摩川源流となる、岩から滴り落ちる一滴一滴の水とその先の小さな水の流れを御覧になり、その流れゆく先に思いを馳せられてお詠みになったものです。(宮内庁ホームページより)
神道知識への誘(いざな)ひ
狛犬(こまいぬ)
狛犬は霊獣として、神社の神域を守る役割があると考えられ、獅子と狛犬が一対で配置されます。本来は獅子一対で伝来したものが日本で独自の進化をとげ、狛犬と呼ばれるようになったと考えられます。社殿に向かって右側に口を開いた「阿形(あぎょう)」の獅子、左側に口を結んだ「吽形(うんぎょう)」の狛犬が参道を挟んで向かい合うのが基本です。
江戸時代以前の狛犬には角があるものが多く、中には角を削り取った跡のある狛犬もあります。狛犬のルーツは世界三大文明まで遡ります。高貴なもの、心霊宿るものを守護するという意図で、地上最強の獣である獅子を据えたと考えられ、その典型がエジプトのスフィンクスです。
日本には仏教と共に、中国や朝鮮半島から伝来したとされ、平安時代は鳥居の建物の中に置かれており、木彫のものが主流でした。それが天皇ゆかりの神社にも置かれるようになりました。その後、武家の寄進などで有名社寺で立派な狛犬を参道に置くようになり、狛犬は全国に広がり、各地域で独自の進化をとげました。