生命(いのち)の言葉|令和6年11月
明治天皇
天地も うごかすばかり
言の葉の まことの道を
きはめてしがな
この広大な天地をも
感動させるほどの
歌の言葉にこめる
人の心のまことの道を
深くきわめたいものである。
『明治の聖代』(明治神宮)
神道知識への誘(いざな)ひ
祝詞(のりと)
祝詞とは、神様に捧げる「言葉」であり、神事で神様に願いや感謝をお伝えするときに、神職がご神前で唱えるものです。祝詞のはじめに、私たちがお恵みをいただいている神様への畏敬の念を込めて、「かけまくもかしこき」(声に出すのも畏れ多い)という、麗しい大和言葉が用いられています。祝詞には、「言霊(ことだま)」という言葉に魂が宿るという考えが込められています。
日本人は、言葉を単なる意思疎通の媒体ではなく、神々につながる神聖なものと考えてきました。神職は祝詞を奏上することで神様と参拝者をつなぎ、神人合一と言霊の霊妙な力をもって、祈願成就のお導きをいただきます。但しそこに「誠」の実践が伴わなくては、その祈りは神様のもとへ届かず、願いは叶いません。
「誠」は「ま・こと」《ま》は「真実」の《こと》は「言葉や事柄」という意味で、日本の重要な価値の一つで、祭りにも欠かせません。
神道では罪穢れを祓うことで「明き(あかき)」「清き」心へ立ち返ると考えられています。その清明心は神々の心にも近づき、「誠」の道にも通じるものと考えられています。